CivicMedia


 

 設立趣旨書

 地域の情報化が喧伝されて久しい。札幌市でもインターネット、高速回線、コミュニティーFMなどの情報伝達基盤が近年整備されてきた。だが、構築された情報伝達基盤が有効に活用されているとは言いがたい。それは、数ある情報の中から、市民にとって大切なものを見極め、それをわかりやすく適切な方法で提供するという情報の編集作業が充分に行なわれていないからではないだろうか。

 編集作業には手間と時間及び高度な情報判断能力が必要とされる。また、昨今のデジタルメディア隆盛の時代には、単に文章と画像だけではなく、音声、映像といった様々な要素を加味し、伝達力を高めなくてはならない。地域において、このような情報発信業務を行政だけに依存するのは困難であるため、市民と行政が協力して現状を打開する必要があると考える。

 本来、このような地域に根ざした情報発信は、地域のメディア産業が引き受けることである。しかしながら、資本の論理が働く商業メディアでは、地域の細かい情報はどうしても軽視、あるいは無視されがちである。
 先進国では法律により保証されている、市民のメディアに対するアクセス権(パブリックアクセス)も日本ではほとんど浸透していない。日本の現状では、市民がメディアを利用して自ら情報を発信しようとするようなメディア参加のチャンスと、参加する意思をもつ人材は圧倒的に少ない。

 その結果、市民はあくまでもメディアの受け手でしかないという現象に陥っている。地上波テレビ番組の多くがキー局からの配信であり、衛星放送には海外巨大メディア企業のコンテンツが目白押しである。地域に自分たちのことを伝えるメディアがない、という状況である。このことは地域の生活文化と産業の弱体を招く大きな要因となる。

 札幌には、さまざまな地域コンテンツがあるはずである。180万都市札幌の抱える問題点、市民の関心事、政策提言、質問、地域の魅力、このような情報は、見出され、共有され、発信されなくてはならない。それを行うのは、地域に住む住民の責務であり、それがより豊かなコミュニティーを作ることにつながり、地域の発展にも貢献するものであると考える。

 住民が地域の情報を発信しようとするとき、取材、編集作業を通じて、自分の暮す街に対する誇りが醸成される。札幌の街のPRを国内、世界に向けて行う都市プロモーションを視野に入れ、「訪れたい街、札幌」を自らの手で構築することが、観光やコンベンション誘致などのツーリズム産業の振興にもつながるであろう。

 災害などの非常時には、既存メディアは細かな生活情報までは目が届かない傾向がある。また、行政も、被災者対策等に追われ、自ら情報を発信する余裕はほとんどない。被災者が必要と思う生活情報が適切に発信されつづけることが被災地で特に重要であると考える。

 本NPOは、上記のような観点から、地域住民が自分たちのメディアを創り、地域の風土、文化、生活、産業、行政からの情報を市民が市民の立場で取材、判断、加工、結び付けを行い、それぞれの情報に適した発信手段で発信する意識及び能力の育成に関わることを事業の柱の一つとする。住民が自ら行うジャーナリズムとして、このような情報発信への試みを「シビック・ジャーナリズム」と呼び、定着させたいと考える。その活動をまた、行政とパートナーシップを組み、大学・教育機関、産業界・商業メディアとの連携を重視しながら、一般企業での事業化は難しく、且つ、行政自身が市民の立場で発信することが困難な情報を引き出し、地域のコミュニティー、産業、文化の振興に対する貢献を目指すものである。また、災害などの非常時には、市民、行政とのネットワークを利用し、被災者に必要とされるような生活情報を収集、編集、発信し、市民の生活を守ることに貢献する。

  平成14年 7月 4日

  特定非営利活動法人 シビックメディア


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